南砺市利賀村にて種取りを実施
2025年10月27日、28日に一般社団法人more trees様のご協力のもと、障がい者雇用支援サービス「Green Link Lab.(グリーンリンクラボ)」のスタッフや運営会社ミチルワグループの社員で広葉樹の種取りを実施いたしました。

■種取りの意義
みなさんはこれまでに木の実拾いをしたことがありますか?多くの方は幼少期に経験したことがあるのではないでしょうか。私たちは大人になった今、本気の木の実拾いをしています。それが未来をつくる1歩になるからです。
森には、多様な生物の住みかとなること、地球環境を守ること、土砂災害を防ぐこと、そして雨水を溜め川から海へゆっくり水を流すことなど、私たちの生活に直結するさまざまな役割があり、森の存在は私たちの生活に欠かせないものです。そんな森は今、深刻な問題に直面しています。
日本は国土の約7割が森林で構成される世界有数の森林大国ですが、国内の森のうち約4割は戦後〜高度経済成長期にかけて、人の手によって植林された人工林で構成されているという特徴があります。
人工林の多くは建築材としての需要を見込んだスギやヒノキなどの針葉樹で構成されていますが、植林後50年以上が経過し全国各地で一斉に収穫(伐採)期を迎えています。大規模な木材利用の需要を創出しながら伐採を進めている一方、伐採されたあとの土地の約65%がそのままの状態で放置されています。背景には木材価格の下落や一次産業である林業従事者の不足など様々な理由がありますが、そのまま放置しておくことは森林が担う様々な役割を失ってしまうことにつながり、経済活動にも大きな影響を与えると考えられています。
森林再生の課題解決に向けて多くの企業がサステナビリティ経営の一環として「森づくり」へ参加しはじめているなか、「多様性のある森づくり」が注目されています。「多様性のある森づくり」とは、その地域に元々あった様々な樹種で構成される本来の森の姿を取り戻す手法ですが、そこには広葉樹の存在が必要不可欠となります。生き物のエサとなり、土に広く根を張り土砂災害を防ぎ、さらには紅葉や自然体験などの観光資源となるなど、広葉樹には多くの可能性があります。近年、林野庁も基本政策に盛り込むなど、国をあげて推進されている一方、多様性のある森づくりに必要な苗木は地域の自助努力による生産に頼っているのが現状で、生産者も生産量も不足しているのが現状です。
「どこにも売っていない種を採集し、育て、山へ戻す」。これがこれからの未来をつくる1歩となるのです。

■ミチルワグループが取り組む理由
ミチルワグループは障がい福祉分野のエキスパートとして全国260ヶ所以上で福祉事業所を運営しています(2025年11月現在)。そんな私たちが新たに立ち上げた事業が、障がい者雇用支援サービス「Green Link Lab.」です。Green Link Lab.では、都市部の障がい者雇用に課題を抱える企業と地方の就職希望の障がいをお持ちの方をつなぎ、富山県富山市にあるラボで広葉樹の苗木生産と研究活動を行います。
障がい者雇用には業務切り出しの難しさや受入れ環境整備の難しさなど様々な課題があり、本来障がい者雇用は多様な人が共生しながら力を発揮できる社会をつくるための大切なステップであるにもかかわらず、法定雇用率の充足に重きがおかれているのが現状です。そんな現状を抜け出すための一歩として「多様性のある森づくり」に挑むことにしました。障がいをお持ちの方が多様性のある森づくりに取り組むということにも意味があります。多様性のある森づくりは、自然界における「ダイバーシティ」の実践であり、私たち人間社会の多様性を尊重する姿勢とも重なっています。どちらも“多様であること”が豊かさと強さを生み出す鍵となっているのです。

■種取りのその先
採集した種は障がいをお持ちの方の手によって播種(種まき)され、毎日の水やり、発芽、鉢上げ、育苗を経て山へ戻ります。Green Link Lab.で播種された種は山へ戻るまで、日々の成長が記録されていきます。樹種によっての発芽率に加え、樹高(苗木の高さ)・樹幹幅(枝葉の広がり幅)・幹幅(幹の太さ)を計測し、広葉樹の樹種によってどのような違いがあるのかなど、これまで進まなかった広葉樹の研究へと繋がっていきます。苗木の生産だけでなく、これからの未来のためのデータを収集していくのです。
さまざまな説がありますが、広葉樹の発芽率は大体2~3割と言われています。つまり、100個の種を播種しても30個の種しか発芽しないということです。今回採集できた樹種は17種です。これらの種の中には来年発芽するものもあれば、再来年、さらに先で発芽するものもあります。100年先の未来の森が多様な森となっていること、そして今収集している日々のデータが林業の宝となることを願っています。

■本件に関するお問合せ
会社名:株式会社ミチルワグループ 新規事業推進部
所在地:東京都中央区東日本橋3丁目3−7 近江会館ビル3F
Tel:03- 3527-3837
Mail:info@greenlinklab.jp
URL: https://greenlinklab.jp/

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