【企業向け】障がい者雇用の面接内容マニュアル|質問例・NG事項・合格判断まで徹底解説

障がい者雇用のための面接内容を考えたいけれど、「何を聞くべきか」「どこまで踏み込んでよいのか」に悩んでいないでしょうか。
もし質問を誤れば法的リスクにつながり、逆に配慮しすぎると適切な判断ができないケースもあります。また、「面接では問題なさそうだったが、配属後に勤怠が安定せず、数か月で退職された」という採用の失敗につながることも少なくありません。
そこでこの記事では、障害者雇用の失敗しない面接内容を考えたい採用担当者向けに、確認すべき質問、NG事項、合否判断の考え方までを実務視点で整理します。初めて障がい者雇用に取り組む企業や過去にトラブルを経験した企業は、ぜひ参考にしてください。
目次
障がい者雇用の面接で企業が考慮する3つの判断軸
障がい者雇用の面接では、「スキル」「就業の安定性」「合理的配慮」の3つの判断軸で整理することが重要です。
実際、厚生労働省の「障害者雇用促進法」や「合理的配慮指針」でも、障がいの内容そのものではなく、仕事との相性や業務への影響を確認することが求められています。つまり、「配慮が必要かどうか」ではなく、業務を続けられるかどうかを見る視点が大切です。
そのため、面接では次の3点を整理して確認しましょう。
① 業務遂行力
担当業務に対して、必要なスキル・経験・理解力があるか
② 就業の安定性
生活リズムや体調面を含め、継続的に出勤できそうか
③ 合理的配慮の実現性
会社として、無理のない範囲で対応できる内容か
この3軸を社内共有しておくことで、「担当者ごとに評価が変わる」「判断が曖昧になる」といった事態を防げます。
※合理的配慮については、内閣府の資料でも、「企業にとって過重な負担でないこと」が前提とされています。
特に2026年7月以降は、法定雇用率が2.5%→2.7%に引き上げられます。障がい者雇用後に離職されてしまうと、不足1人当たり5万円/月の納付金が発生するため、定着してくれやすい人材を見つけ出すことが重要です。詳しくは以下の記事をチェックしてみてください。
障がい者雇用の面接で企業が確認すべき質問内容一覧
障がい者雇用の面接は、「配慮が必要かどうか」を聞く場ではなく、採用後に無理なく働けるかを確認する場です。
ここでは、先ほど整理した「業務」「出勤」「配慮」の3軸をもとに、企業が実際に確認しておきたい質問内容を整理します。
業務スキル・経験について(担当業務を想定して)
障がい者雇用では、業務内容を人に合わせて調整するケースが多いため、事前に業務スキル・経験を確認しましょう。
【質問内容】
✅ これまでの仕事で、得意だった作業は何ですか
✅ この業務について、どこまで一人で対応できそうですか
✅ サポートがあれば対応できる作業はありますか
✅ 作業の指示は、口頭と文章のどちらが理解しやすいですか
この質問をすることで、業務が決まっている場合は対応可能な範囲を、人ありきで業務を切り出す場合は業務設計のヒントを、採用前に把握できます。
志望動機・自己PRについて(障がい者雇用ならではの視点)
障がい者雇用では、仕事内容への理解不足がミスマッチや早期離職につながりやすいため、志望動機・自己PRを確認しましょう。
【質問内容】
✅ なぜ当社・この業務に応募しましたか
✅ この仕事について、どのような点を理解していますか
✅ 働くうえで大切にしたいことは何ですか
この質問をすることで、仕事内容への理解度や、無理のない期待値で働こうとしているかを採用前に確認できます。
障がい特性と業務への影響について
障がい特性だけでは業務上の注意点がわからないため、業務に影響が出やすい場面を具体的に確認しましょう。
【質問内容】
✅ 仕事をするうえで、負担になりやすい場面はありますか
✅ これまでの職場で困ったことがあれば教えてください
✅ 配慮があると働きやすくなる点はありますか
この質問を用意することにより、「診断名だけで判断しない採用環境」を作り出せるほか、業務のどの部分に影響が出やすいかを採用前に把握できます。
現在の生活リズム・継続的な出勤の可否について
障がい者雇用では、安定した出勤が業務継続の前提になるため、生活リズム・出勤状況を確認しましょう。
【質問内容(一般)】
✅ 現在の日中の過ごし方を教えてください
✅ 週何日・何時間の勤務が無理なくできそうですか
【質問内容(福祉サービスを利用している場合)】
✅ 就労支援サービスの利用状況はいかがですか
✅ 最近の勤怠はどの程度安定していますか
【質問内容(福祉サービスを利用していない場合)】
✅ 職業訓練や就労経験はありますか
✅ 現在の求職活動の状況を教えてください
これらの質問を使い分けることで、面接を受ける障がい者の方に「就労準備性(安定して働き続けるために必要な基礎的な能力やスキルのこと)」があるかに加え、「実際に日中の活動や勤怠が安定していたか」を客観的に確認できます。
合理的配慮と職場での工夫について
障がい者雇用では、企業として対応できる配慮の範囲を見極める必要があるため、合理的配慮を事前に確認しましょう。
【質問内容】
✅ 働くうえで、事前に共有しておきたい配慮はありますか
✅ これまで配慮があって助かったことはありますか
この質問をすることで、企業として無理のない範囲で配慮できるかどうかを、採用前に判断できます。
ストレス対処・不調時の対応方法について
障がい者雇用では、その人の不調が業務や出勤に影響した場合に、職場で対応できるかを判断する必要があるため、ストレス対処方法を確認しましょう。
【質問内容】
✅ 体調や気分が不安定になったとき、どのように対処していますか
✅ 会社にはどのように伝えてもらえると助かりますか
✅ 不調のサインとして、ご自身で気づきやすい変化はありますか
これらの質問内容を準備すれば、不調そのものではなく、不調時に自己判断で抱え込まず、相談・調整できるかどうかを確認できます。
面接での見極めや採用判断に不安がある場合は、外部の専門支援を取り入れる選択肢もあります。グリーンリンクラボでは、障がい福祉のプロが独自アセスメントツールで候補者のスキル・コンディションに加え、モチベーションや志向まで分析して人材を紹介。アセスメントは入社後も継続し、定着まで一貫して支援します。
【重要】障がい者雇用の面接で聞いてはいけない質問と企業側の判断基準
厚生労働省の障害者差別禁止指針では、障がい者であることを理由に、不利な取り扱いを行うことを禁止しています。そのため面接では、業務遂行や就業継続と直接関係しない質問はリスクになります。
ここでは、企業が障がい者雇用を進めるにあたり、面接でのNGとなる質問内容や、OK/NGが分かれる質問について紹介します。
原則NGとなる質問(法律・ガイドライン上リスクが高い)
業務や就業継続と関係なく、障がいを理由に不利な判断につながる質問は、原則NGです。以下にNG例をまとめました。
【障がいの有無・内容を前提にした排除的な質問】
❌ 障がいがあると、この仕事は難しいですよね?
❌ その障がいで、フルタイムは無理ですよね?
【診断名・障がいの重さを直接聞く質問】
❌ 病名は何ですか?
❌ 障害者手帳は持っていますか?
【私生活・将来不安を前提にした質問】
❌ 今後、症状は悪化しませんか?
❌ 一生この状態なんですか?
障がい者雇用でトラブルを起こさないためには、「障がいがあるから採用しない」という考え方をなくさなければなりません。障がい者も採用する企業側も納得して雇用を進めるためにも、合理的配慮を行ったうえで、業務遂行や就業継続が可能かを判断しましょう。
聞き方次第でOK/NGが分かれる質問(実務で迷いやすいポイント)
障がい者雇用の面接は、「業務にもとづく具体的な質問内容」を準備しましょう。以下に、似た用途の質問でもNGになる例とOKな例を整理しました。
【NGになりやすい聞き方】
❌ 体調は大丈夫ですか?
❌ ストレス耐性はありますか?
→ 抽象的で、業務判断ではなく主観的評価になりやすいためNG
【OKになりやすい聞き方(言い換え例)】
⭕ 業務を行ううえで、負担になりやすい場面はありますか?
⭕ 体調に変化があった場合、どのように共有してもらえると助かりますか?
→ 業務・職場対応に話題を限定しているためOK
上記の判断に迷った場合は、質問する前に、次の2点を自問すると判断しやすくなります。
- この質問は、業務内容や就業継続の判断に直接関係しているか
- この質問への回答を、合理的配慮や業務設計にどう活かすか説明できるか
この2点に明確に答えられない質問は、避けましょう。ここまでを押さえておけば、「聞いてはいけない質問」を避けつつ、必要な情報は確認できる面接になります。
精神障がい・発達障がいの面接で判断すべきポイントの違い
障がい者雇用の面接内容を考える際には、障がいの特性の違いを理解したうえで採用を判断することが重要です。以下に、その代表例として精神障がいと発達障がいにおける判断ポイントを紹介します。
精神障がい者の面接で重視すべき点
精神障がいの場合、体調や気分の波が業務や出勤に影響しやすいため、「不調時に相談・調整できるか」を重視して判断しましょう。安定している時の能力だけでなく、不調時に無断欠勤や抱え込みが起きにくいか、職場と共有できる関係性を築けるかを確認することが重要です。
発達障がい者の面接で確認すべき点
発達障がいの場合、業務手順の理解やコミュニケーション方法が成果に影響しやすいため、「業務構造との相性」を重視して判断しましょう。注意力や対人面の得意・不得意を前提に、指示方法や役割分担を工夫すれば力を発揮できるかを具体的に確認することが重要です。
障がい者雇用の面接で見るべき合格フラグ・注意サイン
障がい者雇用の面接では、面接時に把握できるスキルよりも「採用後に安定して働けるか」が合否を分けます。ここでは、実務上よく見られる「合格につながりやすいサイン」「注意すべき不合格サイン」を、判断理由とあわせて紹介します。
合格につながりやすい回答・態度
合格につながりやすいのは、面接者となる障がい者の方が、自分の得意・苦手を把握し、業務との関係を説明できる場合です。
「何ができるか」「どこで配慮が必要か」を整理して話せる方は、採用後も相談や調整がしやすく、定着につながりやすい傾向があります。また、不調時の対処方法や連絡の仕方を具体的に説明してくれる方であれば、企業側が対応を想定しやすく、安心して受け入れ判断ができます。
注意すべき不合格サイン
注意が必要なのは、業務内容の理解が浅く、困ったときの対応が曖昧な場合です。
たとえば、「大丈夫です」「問題ありません」と答える一方で、具体的な説明ができない場合、採用後に認識のズレが生じやすくなります。また、不調時の相談先や対応方法が整理されていないと、企業側がフォローできず、結果として早期離職につながるリスクがあります。
面接での見極めや採用判断に不安がある場合は、外部の専門支援を取り入れる選択肢もあります。グリーンリンクラボでは、障がい福祉のプロが独自アセスメントツールで候補者のスキル・コンディションに加え、モチベーションや志向まで分析して人材を紹介。アセスメントは入社後も継続し、定着まで一貫して支援します。
【実務で使える】障がい者面接チェックシート
障がい者雇用の面接では、「印象」や「その場の受け答え」だけで判断すると、配属後のミスマッチや早期離職につながりやすくなります。そこでおすすめなのが、判断軸を明確にしたチェックシートを使い、複数人で共通認識を持って評価する方法です。
以下に、「業務」「出勤」「配慮」「不調対応」を軸にした、面接時の質問内容をまとめたチェックシートを掲載しました。
| 評価項目 | 確認内容(面接で見るポイント) | 評価 |
|---|---|---|
| 業務スキル・経験 | 想定業務について、できる範囲を具体的に説明できているか | ☐可 ☐要検討 ☐不可 |
| 業務理解度 | 業務内容・役割を正しく理解しているか | 〃 |
| 指示の受け方 | 指示方法(口頭・文章など)の希望が整理されているか | 〃 |
| 障がい特性と影響 | 業務に影響が出やすい点を把握・説明できているか | 〃 |
| 生活リズム・出勤 | 日中の過ごし方・勤怠の安定性が確認できたか | 〃 |
| 就労準備性 | 継続して働くための準備が整っているか | 〃 |
| 合理的配慮 | 必要な配慮が具体的で、企業側で対応可能か | 〃 |
| 不調時対応 | 不調時の対処・相談方法が整理されているか | 〃 |
| コミュニケーション | 困ったときに相談できる姿勢があるか | 〃 |
| 総合判断 | 採用後、無理なく働き続けられるイメージが持てるか | 〃 |
また、障がい者の方を評価する際には、「可/不可」だけではなく、「要検討」を用意し、具体的な理由を必ず残すことで判断しやすくなります。
面接官ごとの採用の属人化を減らすためにも、質問内容に加えて、上記の表で個別評価を実施してみてください。
また以下の記事では、定着率を上げる方法について解説しています。障がい者採用後の参考にしてください。
障がい者雇用の面接に同席者(担当支援員)は必要?
障がい者雇用の面接では、必ずしも同席者が必要というわけではありません。ただし、障がい者の方が福祉サービスを利用している場合は、担当支援員に同席してもらうことで判断しやすくなります。
支援員が同席することで、勤怠の安定性や日中の過ごし方、不調時の対応方法などを実態ベースで確認できます。本人の自己申告だけでは判断が難しい場合、第三者の補足があると、採用後のミスマッチを防ぎやすくなるのが魅力です。
そのため、同席者の有無は、採用判断に必要な情報が揃うかどうかで決めましょう。
しかし、面接の主役は障がい者本人です。担当支援員の中には、面接を受ける障がい者に話す機会を作らずに質問に答えたり、作業等の状況や本人の意向まで代弁したりする人も一定数存在します。面接時間の前半は本人のみとして、後半に支援者同席とする等の工夫が必要です。
障がい者雇用の面接通過率はどのくらい?
企業側が障がい者雇用で把握したいのが、面接の通過率です。以下に、通過率の一般例をまとめました。
- 書類選考:3〜10%程度
- 一次面接:50%〜70%程度
- 最終面接:70%〜80%程度
つまり、多くの企業が書類選考の時点で「採る/採らない」の大枠を判断しており、面接は「合否を決める場」というより、採用後に無理なく働けるかを確認する場になっています。
また、上記の通過率はあくまで目安です。「高ければ良い・低ければ悪い」という指標ではなく、自社の受け入れ条件と、応募者像がどれだけ噛み合っているかを測る目安として捉えることが大切です。
まとめ|障がい者雇用の面接内容は準備が肝心
障がい者雇用の面接の目的は、障がいの有無や内容そのものを判断することではありません。業務をどのように切り出すか、安定して出勤できるか、合理的配慮が現実的かなど、採用後に無理なく働ける状態を具体的に想像できるかが、判断の軸になります。
そのためには、
- 業務・出勤・配慮の判断軸を事前に整理する
- 聞いてよい質問・避けるべき質問を理解する
- 面接官ごとの評価ブレを防ぐ仕組みを用意する
といった面接前の準備が欠かせません。準備が整っていれば、面接は「選別の場」ではなく、採用後のミスマッチを防ぐためのすり合わせの場になります。
もし自社だけで、面接準備を含めて障がい者雇用を進められないとお悩みなら、グリーンリンクラボにご相談ください。最適な人材の紹介から入社後の伴走支援までをトータルサポートします。
監修
鈴木 勇(スズキ イサム)
株式会社ミチルワグループ Green Link Lab.富山 チーフマネージャー
1990年東北福祉大学卒業後、障害者職業カウンセラーとして、約20年にわたり全国各地の地域障害者職業センターに勤務。障がい者雇用対策の拡充とともに各地に導入されていく「職業準備支援」「ジョブコーチ支援」「リワーク支援」などの新規事業に携わってきました。2014年からは富山県の発達障害者支援センターで成人期の就労支援を担当。2023年からは社会福祉法人の相談支援専門員として勤務しています。2025年4月から現職。

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