【2026年最新】障がい者雇用に罰則と罰金はある?企業名公表までの全ルールを完全解説

「障がい者雇用を達成できないと、罰金を取られるの?」
「罰則を受ける恐れはある?」
このような疑問は、法定雇用率の引き上げが続く今、企業が特に気をつけたいポイントです。
そこでこの記事では、罰則・納付金の実態とシミュレーションを解説します。
目次
障がい者雇用の未達成に「罰金」はあるのか?【結論:納付金】
結論、障がい者雇用が未達成でも「罰金」が科されることはありません。
ただし、不足1人につき月5万円の「障がい者雇用納付金」を支払う必要があり、実務上は大きな経営負担になります。一方、法定雇用率を達成した企業には調整金・報奨金が支給され、早く達成するほどメリットが大きくなります。
| 比較項目 | 障害者雇用納付金 | 障害者雇用調整金 | 報奨金 |
|---|---|---|---|
| 金額 | -5万円/人・月 | 最大2.9万円/人・月 | 最大2.1万円/人・月 |
参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」
そして特に注意したいのが、2026年7月に法定雇用率が2.7%へ引き上げられる点です。離職が出るだけで未達成に戻る企業も増えているため、障がい者の入社数だけでなく、受け入れ環境・定着・採用ルートの拡大まで含めて障がい者雇用の計画を立てることが重要です。
なお、2026年7月の法定雇用率引き上げについて詳しく知りたい方は、以下の記事で最新の変更点を解説しています。
▶ 障がい者雇用率が2.7%へ引き上げ|対象企業・人数計算・今後の動向まで完全解説
【2026年版】障がい者雇用の義務違反の企業リスクはこの3つ
法定雇用率を達成できなかった場合、企業は次の3段階で対応しなければなりません。
- 障がい者雇用納付金を支払う
- あわせて行政指導を受ける可能性がある
- 指導後も改善がなければ企業名が公表される
障がい者雇用納付金(実質的な経済的負担金|月5万円/名)
未達成が判明した企業が最初に直面するのが「障がい者雇用納付金」です。
「障害者雇用を進めている企業」への助成や支援に用いる資金を、「法定雇用率を下回っている企業」が一定額を負担する制度となっています。
不足1人につき月5万円、年間60万円が発生し、人数・期間が長いほど負担が急増します。
ここで重要なのは「入社させれば終わり」ではない点です。離職が出れば翌月から再び納付対象になるため、企業は定着を前提とした採用計画に切り替える必要があります。
長期的に障がい者雇用納付金を出さないためには、業務の切り出し、サポート担当の配置、通院・短時間勤務への配慮など受け入れ環境の整備が不可欠です。
「納付金」と「罰金」の違い
納付金は行政上の負担金、罰金は刑事罰であり性質がまったく異なります。
| 比較項目 | 納付金 | 罰金 |
|---|---|---|
| 性質 | 雇用促進の調整金 | 刑事処分 |
| 発生要件 | 法定雇用率の未達成 | 虚偽報告・調査拒否など |
| 目的 | 雇用機会の是正 | 違法行為の制裁 |
障がい者雇用の未達成で発生するのは納付金で、犯罪として処罰されるわけではありません。罰金は払えば処分は完結しますが、納付金は法定雇用率未達成であれば、ずっと負担することになります。
一方、報告書の虚偽や調査拒否などの手続違反では罰金が科される可能性があります。
行政指導(ハローワーク→厚生労働省)
法定雇用率を下回る企業は、公共職業安定所長から「障害者雇入れ計画」の作成命令が出されます(障害者雇用促進法第46条)。
発出基準は以下のいずれかであり、命令後は2年間、雇入れ計画書を提出し、計画に沿った採用を進めなければなりません。
- 実雇用率が全国平均未満かつ不足5人以上
- 実雇用率に関係なく不足10人以上
- 従業員120~199.5人規模で障害者0人
職場環境の整備や定着の対策、ハローワーク以外の採用経路など実効性のある取り組みを行わなければ、すぐに法定雇用率を満たせなくなり、改善が遅いと特別指導・企業名公表へ進む可能性があります。
企業名公表(行政指導に対する改善がない場合の罰則)
前述の行政指導に従わず改善が見られない場合、最終段階として企業名が公表され、経済負担以上に次のような影響を受けます。
- 取引先や採用市場での信用低下
- 入札・契約への影響
- ESG評価の悪化
なお、公表を避けるためには、単なる採用数の帳尻合わせではなく、離職を想定した継続雇用の仕組みが必要です。社内理解の醸成、管理職研修、合理的配慮のルール化など組織的対応が求められます。
障がい者雇用未達成企業一覧に掲載されてしまう条件
厚生労働省の「障がい者雇用未達成企業一覧」に掲載されるかどうかは、人数不足だけでなく改善姿勢の有無が大きく影響します。
たとえば、雇入れ計画の未提出、進捗報告の遅れ、採用ルートがハローワークのみで実効策がない場合はリスクが高まります。
そのため、重要なのは「雇えない理由」の説明ではなく、どう受け入れるかの行動計画を示すことです。早い段階で専門機関と連携し、採用と定着を一体で設計することで、リスク回避に取り組みましょう。
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障がい者雇用の義務違反で「30万円以下の罰金」が科される基準
障がい者雇用の未達成そのものは原則、罰金の対象にはなりません。
ただし、以下で紹介する3つの義務違反をした場合には、罰則として30万円以下の罰金を受ける可能性があります(障害者雇用促進法86条)。
報告書提出無視・虚偽報告
以下の報告・提出義務に違反すると、30万円以下の罰金の対象になる場合があります。
- 障害者雇用状況報告(43条7項)
- 雇入れ計画の未作成・未提出(46条)
- 必要書類の不提出(52条)
実務では「担当者の失念や確認漏れ」「人数の誤集計」「短時間カウントの誤解」において、修正や再提出に応じない場合には虚偽扱いになる例もあり、処分リスクが生じます。罰金を避けるためにも、報告フローの二重確認、勤怠データの整合、外部専門家のチェックを整備することが重要です。
調査拒否
以下の調査・検査への協力義務に違反すると、30万円以下の罰金の対象になる場合があります。
- 職員の質問に対する回答拒否・虚偽陳述(82条2項)
- 資料・帳簿の提出拒否(52条)
- 立入検査の妨害・忌避
「担当部署の不在」「資料の未整理」「回答期限の遅れ」から拒否と評価される例もあり、意図がなくても違反認定につながります。罰金を避けるためにも、窓口の一本化、保存書類のルール化、対応期限の管理を整備することが重要です。
解雇届出違反
以下の届出義務に違反すると、30万円以下の罰金の対象になる場合があります。
- 障害者解雇の届出未提出(81条)
- 届出内容の虚偽記載
- 退職事由の不適切な処理
実務では「配置転換の検討不足」「休職扱いとの混同」「手続の遅れ」から違反になる例があり、離職直後に法定雇用率も下がり、障がい者雇用納付金や行政指導の対象となる可能性があります。
罰金を避けるためにも、解雇前の配慮記録、再配置手順、支援機関連携の整備が重要です。
【違反した企業規模別】あなたの会社はいくら払う?
納付金は原則「不足人数×5万円×月数」で計算され、企業規模が大きいほど影響が拡大します。
ここでは「100人規模」「500人規模」を例に、離職や法定雇用率引き上げを想定した現実的な金額を示します。
100人規模の会社の納付金シミュレーション
前提条件(2026年7月以降・法定雇用率2.7%)
- 従業員100人 → 必要人数2人(小数点切り捨て)
| 不足人数 | 月額 | 6か月 | 1年 |
|---|---|---|---|
| 1人 | 5万円 | 30万円 | 60万円 |
| 2人 | 10万円 | 60万円 | 120万円 |
| 3人 | 15万円 | 90万円 | 180万円 |
また、多くの企業で起きるのが「採用はできたが早期離職で再び未達成になる」ケースです。納付金を抑えるには、入社後の業務切り出しやサポート担当の配置、短時間勤務からの段階雇用など定着を前提とした受け入れ設計が重要です。
また、ハローワークだけに頼らず、就労支援機関・人材紹介・実習受け入れなど複数の採用ルートを持つことが安定雇用につながります。
500人規模の会社の納付金シミュレーション
前提条件(2026年7月以降・法定雇用率2.7%)
- 従業員500人 → 必要人数13人(小数点切り捨て)
| 不足人数 | 月額 | 1年 | 2年 |
|---|---|---|---|
| 8人 | 40万円 | 480万円 | 960万円 |
| 10人 | 50万円 | 600万円 | 1,200万円 |
| 12人 | 60万円 | 720万円 | 1,440万円 |
| 13人 | 65万円 | 780万円 | 1,569万円 |
500人規模になると、異動・休職・離職が重なると一気に不足が拡大しやすく、「気づいたら1,000万円規模」という例も少なくありません。
対策としては、雇用管理の一元化、在宅・短時間雇用の活用、特例子会社や就労支援機関との連携など、継続して人数を維持できる仕組みづくりが不可欠です。採用を単年度の補充で考えるのではなく、離職を見込んだ先行確保型の計画へ切り替えましょう。
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実際に企業名が公表された会社の数と業種事例(最新データ)
障害者雇用促進法の47条では、雇入れ計画の適正実施勧告に従わず、雇用状況に改善が見られない企業について、厚生労働大臣が企業名を公表できると定められています。
そして、令和5年3月29日の発表では、5社が企業名公表(うち3社は再公表)となりました。ここでは、厚生労働省が公開している「障害者の雇用の促進等に関する法律に基づく企業名公表について」の資料をもとに、事例や傾向、主な業種の例を紹介します。
過去10年の公表企業数
厚生労働省の公表資料によると、企業名公表数は年度によって大きく変動しています。直近の推移は次のとおりです。(公表があった年のみ掲載)
| 年度 | 公表企業数 |
|---|---|
| 平成26年度 | 8社 |
| 平成28年度 | 2社 |
| 令和2年度 | 1社 |
| 令和3年度 | 6社 |
| 令和4年度 | 5社 |
また、令和4年度は特別指導対象55社に対して指導が行われ、その結果5社が公表に至りました。
多くの企業は指導過程で改善していますが、雇用率は全国平均(2.20%)未満のまま推移した企業が公表対象となっています。公表は単なる制裁ではなく、長期間の計画・勧告・特別指導を経た「最終段階の措置」である点が特徴です。
業種別(建設・IT・小売など)
令和5年3月の公表では、業種は特定分野に偏っていないことが明確になっています。公表・再公表された5社の内訳は次のとおりです。
- 不動産賃貸業
- ビルメンテナンス業
- アクセサリー・雑貨小売業
- 織物・衣服・身の回り品小売業
- 宝飾品小売業
また、特別指導対象55社の産業別分布では、次のように幅広い業種が含まれていました。
- 建設業 2社
- 製造業 8社
- 情報通信業 8社
- 卸売・小売業 11社
- 医療・福祉 5社
- サービス業 7社
このことから、法定雇用率の未達成は、「特定の業界だけが公表されやすい」わけではなく、規模や業態を問わず雇用不足が続けば対象になることがわかります。
障がい者雇用の「納付金」と「行政指導」についてよくある誤解
障がい者雇用では「罰金がある」「小規模企業は関係ない」といった誤解が多く見られます。
100人以下なら払わなくていい?
よく「100人以下の会社は納付金を払わなくていいから大丈夫」と思われがちですが、それは誤りです。
確かに、納付金制度は常用労働者100人超の企業が対象で、100人以下は納付金の支払い義務はありません。しかし、法定雇用率の達成義務そのものは規模に関係なく適用されます。
雇入れ計画の作成命令や行政指導、さらに改善が進まなければ企業名公表の対象にもなり得るため、「規模が小さいから関係ない」という理解は大きなリスクになります。
50人企業でも公表される?
結論として、50人規模の企業でも公表対象になる可能性はあります。
企業名公表の基準は「実雇用率が全国平均未満」「不足人数が一定以上」などで判断され、従業員数の大小だけで除外される制度ではありません。
特に雇用障害者数が0人の状態が続く場合は指導対象になりやすく、計画作成→勧告→特別指導という流れを経て公表に至ることがあります。納付金が発生しない規模でも、社会的信用への影響は大きいため、早期の体制整備が不可欠です。
まとめ|障がい者雇用の納付金・行政指導リスクを避けたいなら
障がい者雇用では、単なる「納付金の負担」があるだけでなく、行政指導や企業名公表という経営リスクも存在します。
未達成によるリスクを回避するためにも、まずは法定雇用率の引き上げや離職も見据え、計画的な採用・定着・受け入れ環境を整備しましょう。また、障がい者雇用はハローワークだけ依存するのではなく、支援機関・紹介会社・実習制度など採用ルートを多様化することも重要です。
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監修
鈴木 勇(スズキ イサム)
株式会社ミチルワグループ Green Link Lab.富山 チーフマネージャー
1990年東北福祉大学卒業後、障害者職業カウンセラーとして、約20年にわたり全国各地の地域障害者職業センターに勤務。障がい者雇用対策の拡充とともに各地に導入されていく「職業準備支援」「ジョブコーチ支援」「リワーク支援」などの新規事業に携わってきました。2014年からは富山県の発達障害者支援センターで成人期の就労支援を担当。2023年からは社会福祉法人の相談支援専門員として勤務しています。2025年4月から現職。

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