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【実例でわかる】障がい者雇用の失敗事例12選|現場が崩壊する原因と本質的な対策

「障がい者雇用を始めたが、現場がうまく回らない」
「トラブルが増え、現場が混乱し、担当者が限界を迎えている」

現在企業に課せられている法定雇用率(従業員に対する障がい者の雇用割合)は、2024年に2.5%へ引き上げられ、2026年7月には2.7%へとさらに上がる予定です。

このように、多くの企業が障がい者雇用の対応を迫られていますが、雇用率達成だけを目的にすると、同じような障がい者雇用の失敗が繰り返されやすいのが実情です。

そこでこの記事では、障がい者雇用の失敗事例12選を解説し、企業で起こりやすい失敗の原因と再発防止策を解説します。「今まさに不安がある」「これから採用を検討している」という企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

なぜ「障がい者雇用 失敗事例」がこれほど検索されているのか

法定雇用率の引き上げにより、多くの企業が障がい者採用を進めています。しかし、準備が不十分なまま進めてしまうと、次のような構造的な問題が発生します。

  • 業務設計不足による早期離職(定着率低下)
  • 現場説明不足による関係悪化
  • 合理的配慮の未共有による現場トラブル
  • 担当者の孤立・疲弊

実際、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)の「障害者の就業状況等に関する調査研究(p.34)」でも、離職理由として「業務遂行上の課題」「人間関係の悪化」などが上位に挙げられています。

また、2024年4月からは民間企業にも合理的配慮の提供が法的義務となりました。さらに法定雇用率は2026年7月に2.7%へ引き上げ予定です。一方で厚生労働省の「令和5年障害者雇用状況報告」では、民間企業の実雇用率は2.33%と公表されているなど、体制整備が追いつかない企業が増えていることも、検索増加の背景にあります。

なお、失敗の多くは障がい者本人の問題ではなく、企業側の受け入れ体制や業務設計の不備に起因しています。逆にいえば、採用前に体制を整え、現場と共通理解を持てれば、定着率は大きく改善する可能性があります。

雇用後のトラブルを避けたい企業担当者の方は、次項で紹介する具体的な失敗事例を確認し、自社の状況と照らし合わせながら対策を検討していきましょう。

グリーンリンクラボでは、障がい者雇用の失敗を防ぐための体制づくりや助成金活用のポイントをまとめたサービス資料をご用意しています。まずは情報収集から始めたい企業様はぜひご活用ください。

【法定雇用率の引き上げについてはこちらをチェック】
障がい者雇用率は2.5%→2.7%へ引き上げ

【全体像】障がい者雇用で起きやすい失敗事例12選(分類別)

障がい者雇用の失敗事例には、共通する構造があります。そしてその失敗は、採用段階・就業環境・人間関係・組織体制のいずれかに構造的な原因があります。

ここでは、「障がい者雇用事例リファレンスサービス(JEED)」の情報なども参考にしつつ、現場で実際に起きやすい失敗事例を4分類・12パターンに分けて紹介します。

現在の社内の状況にあてはまる内容がないか、見比べたうえで対策を検討してみてください。

分類 主な失敗内容 根本原因
採用・体制構築 ・丸投げ採用
・業務未設計
事前準備不足
就業環境・合理的配慮 ・過剰配慮
・配慮不足
誤った理解
人間関係・コミュニケーション ・注意できない
・あいまいな指示
マネジメント不在
組織・管理体制 ・担当者の孤立
・炎上
仕組み不足

※クリックすると画面がスライドします。

採用・体制構築での失敗事例3選

実は、障がい者雇用の失敗事例として多いのが、採用前の準備不足です。次のいずれかに当てはまるなら、リスクが高い状態です。

「とりあえず採用」で現場に丸投げした

雇用率の期限が迫り、急いで採用を決めていませんか?

業務設計や配慮事項を決めないまま現場に任せると、指導担当が疲弊し、数か月後に離職へつながるケースがあります。問題は本人ではなく、準備不足です。

【チェック】
✅ 指導担当を事前に決めましたか?
✅ 業務内容を1日単位で整理しましたか?

業務の切り出し不足で「やることがない」状態になった

障がい者の方に対し、「簡単な作業だけ任せればよい」「仕事があるときだけ任せよう」と考えていませんか?

これは障がい者雇用の代表的な失敗事例のひとつです。毎日発生しない単発業務だけを割り振ると、空き時間が増え、本人が「自分は戦力ではない」と感じて離職につながります。定着しない原因は能力ではなく、業務設計の甘さです。

厚生労働省の「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書(p.26)」では、身体障がい者の雇用上の課題が調査されており、「社内に適当な仕事があるか」という点に77.2%の会社が課題を感じていることが判明しています。

【チェック】
✅ 毎日継続する業務を用意していますか?
✅ 業務の流れを事前に棚卸ししましたか?

社内の理解不足で受け入れ部署が混乱した

現場への説明を十分にしないまま、障がい者の方を配属していませんか?

合理的配慮の意味が現場に共有されないと、「なぜ特別扱い?」という不満が生まれ、障がい者の方が働きづらくなります。配慮は優遇ではなく、業務を遂行するための調整です。理解不足は摩擦を招きます。

【チェック】
✅ 配属前に説明の場を設けましたか?
✅ 相談窓口を明確にしていますか?

就業環境・合理的配慮の失敗事例3選

障がい者雇用の失敗事例では、「配慮しすぎ」も「配慮不足」も原因になっています。

合理的配慮の本質を理解しないまま対応すると、成長機会の喪失や孤立、勤怠トラブルが起きやすくなります。ここでは、就業環境面で起きやすい3つの典型例を紹介します。

過剰な配慮で成長機会を奪ってしまった

「無理をさせないことが正解」と思っていませんか?

配慮を意識するあまり、責任ある業務を任せなかったり、挑戦の機会を与えないと、本人の成長機会を奪ってしまいます。合理的配慮は守ることだけではありません。成長機会をつくることも、障がい者雇用に欠かせない対策です。

【チェック】
✅ 本人の希望や目標を確認していますか?
✅ 業務の幅を段階的に広げていますか?

合理的配慮がなく孤立させてしまった

「特別扱いをせず、一般社員と同じ対応がよい」と考えていませんか?

必要な配慮を行わないと、業務がうまく進まず、周囲との関係が悪化します。配慮不足は本人の孤立や早期離職につながります。

一方で、他害行動や突発的な欠勤・遅刻などのトラブルが起きた際に、「障がい者だから仕方ない」と見過ごしてしまうのも別の失敗です。合理的配慮と職場のルールは切り離して考える必要があります。

配慮は業務遂行を支えるための調整であり、ルール免除ではありません。この線引きが曖昧だと、現場の不満が蓄積し、より大きなトラブルへ発展します。

【チェック】
✅ 業務上の困りごとを定期的に確認していますか?
✅ 必要な調整を柔軟に行えていますか?
✅ ルール違反時の対応基準を決めていますか?

通院・体調配慮ができず勤怠トラブルに発展した

通院や体調変動を想定せずに勤務設計していませんか?

障がい特性によっては定期通院や体調波があります。これを考慮せずに厳格な勤務管理を行うと、欠勤増加や関係悪化につながります。

【チェック】
✅ 通院スケジュールを把握していますか?
✅ 勤務時間の柔軟性を検討しましたか?

人間関係・コミュニケーションの失敗事例3選

障がい者雇用の現場では、「どう接すればよいかわからない」という戸惑いが摩擦を生みます。

注意の仕方、指示の出し方、期待値の設定を誤ると、小さなズレが積み重なり大きなトラブルに発展します。ここでは人間関係で起きやすい3つの失敗を整理します。

「注意できない」ことにより社内での不満が爆発した

「強く言うと配慮違反になる」と思っていませんか?

遠慮して注意をしないまま放置すると、周囲に不公平感がたまり、ある日突然不満が噴き出します。合理的配慮と業務指導は別です。伝えるべきことは、伝え方を工夫して伝える必要があります。

【チェック】
✅ 業務基準を明確にしていますか?
✅ フィードバックのルールを決めていますか?

業務指示があいまいでトラブルが頻発した

「言えば伝わる」と思っていませんか?

口頭だけの指示や抽象的な説明では、認識のズレが起きやすくなります。結果としてミスが増え、「能力が足りない」と誤解されるケースもあります。

実際にあった障がい者雇用の失敗事例(JEEDの事例)として、ある企業では業務を明確に提示せず採用した結果、定着せず離職が続くという失敗が起きています。なお、業務設計の見直しと支援機関連携で状況は改善しています。

【チェック】
✅ 指示を具体的な手順まで落としていますか?
✅ 書面やチャットで記録を残していますか?

障害特性を誤解した期待がミスマッチを生んだ

「この障がいなら〇〇が得意」と決めつけていませんか?

同じ診断名でも特性は人それぞれです。先入観で業務を任せると、ミスマッチが生じ、本人も職場も疲弊します。重要なのは個別理解です。

実際にあった障がい者雇用の失敗事例(JEEDの事例)として、精神障がいのある社員が早期離職する失敗がありました。原因は、服薬の副作用による動作の遅さを理解できず、能力不足と誤解したことです。さらに、新しい職場での不安や孤独に気づけず、気持ちへの配慮が不足していた点も問題でした。

【チェック】
✅ 本人の得意・不得意を具体的に確認しましたか?
✅ 試用期間中に業務調整を行いましたか?

組織・管理体制の失敗事例3選

個人や現場任せの対応では、障がい者雇用は長続きしません。

担当者の孤立や外部連携不足、仕組み未整備は、やがて社内全体の問題へ発展します。ここでは、組織レベルで起きやすい3つの管理上の失敗を解説します。

担当者が板挟みで限界になった

担当者にすべて任せきりにしていませんか?

人事と現場、本人との間に立つ担当者が孤立すると、精神的負担が集中します。相談先がなく、責任だけが重くなると、担当者の離職や体制崩壊につながります。

【チェック】
✅ 担当者を複数体制にしていますか?
✅ 定期的な振り返りの場を設けていますか?

外部支援を使わず自社だけで抱え込んだ

「自社だけで何とかできる」と思っていませんか?

特に、精神障がい者や発達障がい者は、障がい特性による症状が十人十色であることから、対応が難しくなりがちです。

就労支援機関や専門家を活用せずに抱え込むと、対応が後手に回ります。第三者の視点がないと、問題が長期化しやすくなります。

【チェック】
✅ 就労支援機関と連携していますか?
✅ トラブル時の相談先を確保していますか?

体制構築が不十分で炎上につながった

仕組みづくりを後回しにしていませんか?

ルールや責任範囲を決めないまま雇用を進めると、小さな不満が積み重なり、現場が“炎上”するケースもあります。属人的な対応は長続きしません。

【チェック】
✅ 役割分担を明確にしていますか?
✅ 定期面談の仕組みがありますか?

失敗企業に共通する障がい者雇用の「5つの構造的原因」

障がい者雇用の失敗は、個別トラブルではなく「構造」に原因があります。多くの企業で共通して見られるのは、次の5点です。

  • 雇用率達成が目的化している
  • 業務設計が属人的で文書化されていない
  • 合理的配慮の定義が社内で共有されていない
  • 定期面談や振り返りの仕組みがない
  • 外部支援を活用していない

これらが重なると、早期離職・現場の疲弊・担当者の孤立が起きやすくなります。もし複数当てはまる場合は、個別対応ではなく体制全体の見直しが必要です。

なお、障がい者雇用に失敗して法定雇用率が未達成になると、一定規模以上の企業には納付金制度(5万円/月・人)が適用されます。リスクをなくすためにも、この機会に受け入れ環境の見直しをスタートしましょう。

【定着率の高め方を知りたい方はこちらをチェック】
障がい者雇用の定着率を高める方法は?

障がい者雇用の失敗を防ぐために企業が本当にやるべき対策

失敗を防ぐために必要なのは、特別なノウハウではありません。重要なのは、雇用前から「仕組み」として設計することです。具体的には、次の対策が効果的です。

  • 業務を「続くかどうか」で設計する
  • 合理的配慮を文書化し社内で共有する
  • 現場向けの理解研修を実施する
  • 定期面談と振り返りを仕組み化する
  • 就労支援機関・外部専門家と連携する

これらを実行すれば属人的な対応から脱却でき、定着率の向上が期待できます。逆に、対策を後回しにすれば、同じ失敗を繰り返します。まずは今すぐ着手できる項目から整えましょう。

さらに重要なのは、「定着」で終わらせないことです。障がい者雇用でも、ステップアップやキャリアアップの視点を持つことが、長期的な成功につながります。業務の幅や評価基準を明確にすることで、成長と戦力化を両立できます。

また、特定求職者雇用開発助成金やジョブコーチ支援などの制度も活用可能です。法定雇用率・納付金制度・合理的配慮義務を理解したうえで制度を活用することが、経営判断としても重要です。

障がい者雇用の体制づくりに不安がある企業は、専門家の伴走支援を活用する選択肢もあります。グリーンリンクラボでは、採用から定着・育成までを一貫してサポートしています。

それでもトラブルが起きたときの相談先・対処法

どれだけ準備をしても、トラブルが起きる可能性はゼロではありません。このときに重要なのは、問題を「放置しないこと」と「抱え込まないこと」です。以下のような早期対応が、関係悪化や離職を防ぎます。

  • 社内の上長・人事部へ早めに共有する
  • 定期面談を前倒しで実施する
  • 就労支援機関(支援員)に相談する
  • 地域障害者職業センターを活用する
  • 外部専門家・社労士に助言を求める

問題を個人間で解決しようとすると、感情的な対立に発展しやすくなります。第三者を交え、事実と課題を整理したうえで対応することが再発防止につながります。トラブルは「失敗」ではなく、体制を見直すサインと捉えましょう。

【支援サービスの選び方はこちらをチェック】
障がい者雇用支援サービス・支援機関の選び方は?

まとめ|障がい者雇用の失敗は「個人の問題」ではない

本記事で紹介した障がい者雇用の失敗事例の多くは、本人の能力や性格ではなく、企業側の構造に原因があります。多くの場合、業務設計や配慮の共有不足、組織体制の未整備といった「企業側の構造」に原因があります。

確認項目 問い直すべき視点
雇用目的 雇用率達成が目的化していないか
業務設計 業務内容は具体化・文書化されているか
合理的配慮 配慮の基準が社内で共有されているか
担当体制 担当者が孤立していないか
外部連携 就労支援機関や専門家と連携できているか

これらを整理するだけでも、失敗の多くは未然に防げます。

障がい者雇用は特別な施策ではなく、組織づくりそのものです。障がい者雇用の失敗を防ぐには、採用前から体制を設計することが不可欠です。

監修

鈴木 勇(スズキ イサム) 
株式会社ミチルワグループ Green Link Lab.富山 チーフマネージャー
1990年東北福祉大学卒業後、障害者職業カウンセラーとして、約20年にわたり全国各地の地域障害者職業センターに勤務。障がい者雇用対策の拡充とともに各地に導入されていく「職業準備支援」「ジョブコーチ支援」「リワーク支援」などの新規事業に携わってきました。2014年からは富山県の発達障害者支援センターで成人期の就労支援を担当。2023年からは社会福祉法人の相談支援専門員として勤務しています。2025年4月から現職。

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