【2026年対応】障がい者雇用率の計算方法を解説!端数・小数点の注意点や重度の扱い

自社の障がい者雇用率を計算したいけれど、「計算方法がわからない」「小数点の扱いはどうするの?」「重度は2人分?」など、計算のやり方に悩んでいませんか?
特に、6月1日の報告を担当する人事・総務担当者や、納付金リスクを避けたい経営者にとって、正確な計算は欠かせません。このとき、障がい者雇用率の計算を間違えてしまうと、納付金の発生や行政指導につながるリスクがあります。
そこでこの記事では、2026年最新の法定雇用率にもとづき、企業が用いるべき計算式や、間違えないように気をつけたい端数処理・ダブルカウントのルールについて、実務目線でわかりやすく解説します。
目次
障がい者雇用率(実雇用率)とは?
結論から言うと、障がい者雇用率(実雇用率)とは、企業が何%の障がい者を雇用しているかを示す指標です。
具体的には、企業に在籍する常用労働者数(期間の定めなく雇用されている労働者や、一定の所定労働時間を満たす労働者)に対して、何人の障がい者を雇用しているかを示す割合であり、毎年6月1日時点の状況を、ハローワークへ報告する義務があります。
なお、障がい者雇用率(実雇用率)は、国が定める「法定雇用率(後述)」と比較するための基準となる数値です。そのため企業は、単に人数を把握するだけでなく、正確な計算方法で実雇用率を算出し、基準を満たしているか確認する必要があります。
障がい者雇用率と法定雇用率の違い
障がい者雇用率とは別に理解しなければならないのが、厚生労働省が定める「法定雇用率」です。両者の違いは次のとおりです。
| 項目 | 障がい者雇用率(実雇用率) | 法定雇用率 |
|---|---|---|
| 意味 | 企業が実際に雇用している割合 | 国が定める最低基準 |
| 性質 | 実績値 | 義務基準 |
| 主体 | 企業が算出 | 厚生労働省が設定 |
重要なのは、実雇用率が法定雇用率以上であることです。
- 障がい者雇用率(実雇用率) ≧ 法定雇用率
→ 基準達成 - 障がい者雇用率(実雇用率) < 法定雇用率
→ 未達(納付金の対象)
なお、民間企業の法定雇用率は2.5%(2024年4月~)であり、2026年7月には2.7%へ引き上げられる予定です(厚生労働省公表)。
未達の場合には、障害者雇用納付金の支払い対象となる可能性があります。特に法定雇用率は段階的に引き上げられているため、これまで基準を満たしていた企業でも不足するケースが出ています。
まずは本記事で紹介する計算方法をもとに、自社の実雇用率が基準を満たしているか確認してみてください。
【法定雇用率の引き上げについて、詳しく知りたい方はこちら】
▶ 障がい者雇用率は2.5%→2.7%へ引き上げ
障がい者雇用率の計算方法【厚生労働省ルール準拠】
障がい者雇用率は次の式で計算します。
障がい者雇用率(%)= 算定対象障がい者数 ÷ 常用労働者数 × 100
ただし、単純に人数を当てはめて良いわけではありません。厚生労働省が定めるカウントルールに従い、「算定対象障がい者数」と「常用労働者数」をカウントする必要があります。
※特に、重度障がい者のダブルカウントや短時間労働者の扱いを誤ると、実雇用率が大きく変わる可能性があります。
以下より、計算方法の基本ポイントを解説します。
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常用労働者数の計算ポイント
常用労働者数とは、雇用期間の定めがない労働者や、一定期間以上継続して雇用されている労働者を指します。原則として、週30時間以上勤務する労働者を1人として算定します。
分母となる人数も、労働時間に応じて換算します。
| 区分 | 週所定労働時間 | 算定方法 |
|---|---|---|
| 無期雇用または1年以上継続雇用 | 30時間以上 | 1人 |
| 無期雇用または1年以上継続雇用 | 20~30時間未満 | 0.5人 |
| 10~20時間未満 | 原則算定対象外 | – |
| 役員 | 含まれない | – |
| 日雇い労働者 | 含まれない | – |
※契約上の所定労働時間で判断(契約社員・パートも含む・残業は含まない)
分母の計算を誤ると必要人数そのものが変わるため、雇用形態と労働時間の整理が重要です。
算定対象障がい者数の計算ポイント
算定対象障がい者数は単純に「在籍人数=そのままの数値」ではありません。原則として、身体・知的・精神障がい者のうち、障害者手帳を所持し、一定の雇用要件を満たす労働者が対象となります。
特に注意すべきなのは、「重度区分」と「週所定労働時間」によってカウント数が変わる点です。以下が厚生労働省基準に基づく算定方法です。
| 障がい区分 | 30時間以上 | 20~30時間未満 | 10~20時間未満 |
|---|---|---|---|
| 身体障がい者 | 1人 | 0.5人 | 対象外 |
| 重度身体障がい者 | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 知的障がい者 | 1人 | 0.5人 | 対象外 |
| 重度知的障がい者(※1) | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 精神障がい者 | 1人 | 1人(特例 ※2) | 0.5人 |
※1 重度知障がい者は療育手帳の重度判定とそれ以外の判定のうち職業的重度の判定を受けている一部(地域によって等級の表記が異なります)
※2 精神障がい者の「20~30時間=1人」は当分の間の特例措置
このように、重度区分・精神特例・労働時間の組み合わせで算定数が変わるため、手帳区分と契約時間の確認が不可欠です。
企業が計算ミスしやすい障がい者の人数カウント
障がい者雇用率の計算方法は複雑なカウントが関係するため、よく計算ミスが発生します。
以下より、これから計算する方が特に注意したいポイントをまとめました。
- 労働時間を誤ると0.5人扱いになる
- 重度区分を見落とすと2人分(ダブルカウント)にならない
- 精神特例を知らないと本来1人が0.5人になる
- 10〜20時間の扱いを誤るとカウント漏れになる
労働時間を誤ると0.5人扱いになる
アルバイトやパートがいる企業で起こりやすいのが、「ほぼフルタイムだから1人で良い」と判断してしまうのは典型的なミスです。
契約上の週所定労働時間(残業を含まない)が20~30時間なら、原則0.5人換算になります。実際の勤務時間ではなく、雇用契約書の所定労働時間を基準に計算するのが正しい方法です。
重度区分を見落とすと2人分(ダブルカウント)にならない
重度身体・重度知的障がい者は、条件を満たせば2人分(ダブルカウント)として算定されます。しかし、手帳の等級を確認せず1人で計算してしまうケースや、逆に労働時間が不足しているのに2人分で計算してしまうケースも少なくありません。
厚生労働省の基準では、週30時間以上勤務していれば2人分、20~30時間未満は1人、10~20時間未満は0.5人として算定します。重度区分と契約上の所定労働時間を必ずセットで確認することが重要です。
精神特例を知らないと本来1人が0.5人になる
精神障がい者は、週20~30時間未満でも1人として算定される特例があります。
これを知らずに0.5人と計算すると、障がい者雇用率が不足していると判断する可能性があります。精神区分は他の障がい区分と換算が異なるため、必ず別枠で整理して算定してください。
10〜20時間の扱いを誤るとカウント漏れになる
週10~20時間未満は原則対象外と思い込みがちですが、重度身体・重度知的・精神障がい者は0.5人として算定されます。
「20時間未満はどんな条件でも0人」と誤認すると、0.5人単位で不足が発生します。区分と労働時間の組み合わせを必ず確認しましょう。
(参考:厚生労働省「令和4年障害者雇用促進法の改正等について」)
【障がい者雇用率のカウントを詳しく知りたい方はこちら】
▶ 障がい者雇用のカウント方法を解説
障がい者雇用率の計算シミュレーション
ここでは、前述した計算方法や、2026年7月以降(法定雇用率2.7%)を前提に、100人・500人の会社規模で実際に計算をしてみます。なお、以下の流れで計算するのがおすすめです。
- 社内の常用労働者数をカウントする
- 社内の算定対象障がい者数をカウントする
- 法定雇用率から必要人数を計算する
- 次の対応を検討する
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従業員100人の会社
【前提条件】
・民間企業
・労働者数
①正社員(週30時間以上):70人
②パート(週30時間以上):10人
③パート(週20~30時間未満):20人
・法定雇用率:2.7%
・障がい者の雇用状況
①身体(週30時間以上)1名
②知的(週20~30時間)1名
常用労働者数をカウント
70(正社員)
+10(30時間以上パート)
+20×0.5(20~30時間未満)
= 70+10+10 = 90人
算定対象障がい者数のカウント
・身体(週30時間以上)1名 → 1.0
・知的(週20~30時間)1名 → 0.5
→ 合計1.5人
法定雇用率をもとにした必要人数
90人 × 2.7% = 2.43人
→ 2人必要(小数点以下は切り捨て)
結果
障がい者数のカウント1.5人 < 必要人数2人
→0.5人不足
よって、企業が次に選択すべきなのが以下の方法です。
- 重度区分や精神特例の適用漏れがないか再確認する
- 週20~30時間の雇用を1名追加(+0.5)
- 既存社員や雇用している障がい者の方の労働時間を見直す
従業員500人の会社
【前提条件】
・民間企業
・労働者数
①正社員(週30時間以上):350人
②パート(週30時間以上):50人
③パート(週20~30時間未満):100人
・法定雇用率:2.7%
・障がい者の雇用状況
①身体(週30時間以上)4名
②知的(週20~30時間)4名
③精神(週20~30時間)3名
④重度知的(週30時間以上)1名
常用労働者数をカウント
350(正社員)
+50(30時間以上パート)
+100×0.5(20~30時間未満)
= 350+50+50 = 450人
算定対象障がい者数のカウント
・身体(週30時間以上)4名 → 4.0
・知的(週20~30時間)4名 → 2.0
・精神(週20~30時間)3名 → 3.0(特例)
・重度知的(週30時間以上)1名 → 2.0
→ 合計 11.0人
法定雇用率をもとにした必要人数
450人 × 2.7% = 12.15人
→ 12人必要(小数点以下は切り捨て)
結果
障がい者数のカウント11.0人 < 必要人数12人
→ 1人不足
よって、企業が次に検討すべきなのは以下です。
- 週30時間以上の雇用を1名追加(+1.0)
- 週20~30時間の雇用を2名追加(0.5×2=+1.0)
- 既存社員の契約時間を見直し、換算が上がるか確認する
- 重度区分や精神特例の適用漏れがないか再確認する
法定雇用障がい者数の早見表
法定雇用障がい者数は、次の式で求めます。
常用労働者数 × 法定雇用率(2.7%)
※小数点以下は切り捨て
毎回計算するのが大変な企業向けに、代表的な規模で一覧にしました。
| 常用労働者数 | 計算結果(2.7%) | 必要人数(切り捨て後) |
|---|---|---|
| 40人 | 1.08人 | 1人 |
| 50人 | 1.35人 | 1人 |
| 80人 | 2.16人 | 2人 |
| 100人 | 2.70人 | 2人 |
| 150人 | 4.05人 | 4人 |
| 200人 | 5.40人 | 5人 |
| 300人 | 8.10人 | 8人 |
| 400人 | 10.80人 | 10人 |
| 450人 | 12.15人 | 12人 |
| 500人 | 13.50人 | 13人 |
| 800人 | 21.60人 | 21人 |
| 1,000人 | 27.00人 | 27人 |
常用労働者数が増えるほど、必要人数も段階的に増加します。自社の規模と照らし合わせて確認してください。
障害者雇用率をExcelで計算する方法
障害者雇用率は、Excelを活用することで自動計算にも対応できます。毎年の6月1日報告や、月次確認にも活用できるため、人事・総務担当者は簡易シートを作成しておくと便利です。
まず、従業員ごとに以下のような表を作ります。
| 氏名 | 障がい者区分 | 重度区分 | 週所定労働時間 | 手帳有無 | 算定人数 |
|---|---|---|---|---|---|
| 障害者の方の名前 | ・身体 ・知的 ・精神 |
・重度 ・非重度 |
数値入力(例:30、25、18など) | ・あり ・なし |
以下の関数を入力 |
※「氏名」のセルをA1とする
※各種情報はプルダウン形式にするのが良い
=IF(E2=”なし”,0,
IF(D2<10,0,
IF(B2=”精神”,
IF(D2<20,0.5,1),
IF(C2=”重度”,
IF(D2<20,0.5,
IF(D2<30,1,2)
),
IF(D2<20,0,
IF(D2<30,0.5,1)
)))))
こうすることで、障がい者のカウントが可能です。また、別シートで以下を準備しましょう。
| 氏名 | 週所定労働時間 | 算定人数 |
|---|---|---|
| 常用労働者の名前 | 数値入力(例:30、25、18など) | 以下の関数を入力 |
※「氏名」のセルをA1とする
=IF(B2>=30,1,
IF(AND(B2>=20,B2<30),0.5,0))
そして最後に、2つの表から算出された合計値を以下の計算式に当てはめます。
= 障がい者の合計が表示されるセル ÷ 常用労働者の合計が表示されるセル * 100
この結果が2.7%(2026年7月以降の場合)を下回る場合、障がい者雇用率(実雇用率)は未達成となります。
なお、Excelはあくまで計算ツールです。制度ルールに基づいた条件分岐を設定していなければ、正しい結果は出ません。まずは重度区分・精神特例・短時間勤務の扱いが反映されているかを確認しましょう。
Excelの準備が面倒なら、
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障がい者雇用納付金の計算方法【未達成企業向け】
法定雇用率を下回った企業(常用労働者100人を超える企業)は、障がい者雇用納付金の支払い対象となります。計算方法は以下のとおりです。
納付金 = 不足人数 × 月額5万円 × 12か月
たとえば5人不足していれば、年間300万円の納付が発生します。規模が大きい企業ほど影響は無視できません。人数が増えるほど納付額も大きくなるため、まずは自社の不足人数を正確に把握し、法定雇用率を下回らない対策を行うことが重要です。
まとめ|障がい者雇用率の計算は「自己流」が一番危険
障がい者雇用率は、単純な「人数の割り算」ではありません。重度区分のダブルカウント、精神障がい者の特例、短時間勤務の換算など、厚生労働省が定めるルールに従って計算しなければ、正しい実雇用率は算出できません。
特に2026年7月以降は法定雇用率が2.7%へ引き上げられる予定です。わずか0.5人の差でも未達成となり、納付金の対象になる可能性があります。そのため、「うちは大丈夫だろう」と自己流で計算を続けることが、最も危険です。
計算方法が不安なら、誰でも正しく計算できる自動計算フォーマットをダウンロードしましょう。
監修
鈴木 勇(スズキ イサム)
株式会社ミチルワグループ Green Link Lab.富山 チーフマネージャー
1990年東北福祉大学卒業後、障害者職業カウンセラーとして、約20年にわたり全国各地の地域障害者職業センターに勤務。障がい者雇用対策の拡充とともに各地に導入されていく「職業準備支援」「ジョブコーチ支援」「リワーク支援」などの新規事業に携わってきました。2014年からは富山県の発達障害者支援センターで成人期の就労支援を担当。2023年からは社会福祉法人の相談支援専門員として勤務しています。2025年4月から現職。

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