【2026年7月対応】障がい者雇用のカウント方法を解説|20時間未満・ダブルカウント・計算例まで

「障がい者雇用の人数は、どう数えるのが正解なのかわからない」と疑問を抱えたまま、障がい者雇用の実務を進めていないでしょうか。
結論から言うと、障がい者雇用のカウントは「感覚」で判断すると非常に危険です。2026年7月には法定雇用率が引き上げられ、カウントミス=納付金・行政指導リスクに直結します。
そこでこの記事では、2026年対応の最新ルールを前提に、障がい者雇用のカウント方法と実務で迷いやすいポイントを整理します。
【この記事の結論】
・障がい者雇用のカウントは「在籍人数」ではない
・20時間未満/重度/精神特例で数え方が変わる
・2026年7月以降は2.7%基準で再計算が必須
目次
そもそも「障がい者雇用のカウント」とは何か?
障がい者雇用のカウントとは、障害者雇用促進法において「何人雇用しているとみなされるか」を数値化する方法です。単に雇っている人数を数えるものではありません。
日本では、一定規模以上の企業に対して「法定雇用率」が定められており、その達成状況を判断するために、統一ルールで人数をカウントする必要があります。そして、注意しなければならないのが、労働時間・障がい種別・重度区分などによって、1人=1カウントにならないケースがある点です。
これらを踏まえ、次章から具体的なカウント方法を見ていきましょう。
障がい者雇用サービスの「グリーンリンクラボ」では、障がい福祉のプロが、貴社の状況をヒアリングしたうえで「自社の実雇用率はいま何%か」「見落としている加算・特例はないか」「今すぐ是正が必要か」を提案します。
自社だと何人必要?障がい者雇用カウントの計算式
障がい者雇用で「自社に何人必要か」は、以下の計算式で算出します。
必要な障がい者数 = 常用労働者数 × 法定雇用率(2.7%)
たとえば、2026年7月以降、民間企業の法定雇用率は2.7%です。これに対し、常用労働者が100人の企業の場合、「100 × 2.7% = 2.7人(=小数点切り捨てで2人)」が必要となります。
なお、常用労働者数には正社員だけでなく、一定条件を満たすパート・契約社員も含まれます。一方で役員・業務委託・派遣先での派遣社員は原則含まれません。この条件を考慮して障がい者の雇用人数をカウントしていきましょう。
なお、2026年7月の引き上げについて詳しく知りたい方は、以下の記事もチェックしてみてください。
▶ 障がい者雇用率は2.5%→2.7%へ引き上げ|いつから・対象企業・人数計算・今後の動向まで完全解説
2026年現在の障がい者雇用カウントの基本ルール(厚生労働省基準)
2026年現在の障がい者雇用のカウントは、「障害者雇用率制度」にもとづき、労働時間と障がい区分ごとに数値換算して算定します。
なお、カウントするのは単に在籍人数ではなく、「実雇用率(実際にどれだけ雇えているか)」で評価しなければなりません。条件によってはカウント数が変化するケースもあるため、次で具体ルールを確認しましょう。
労働時間別のカウント基準
障がい者雇用のカウントは、週の所定労働時間ごとに明確な換算基準が定められています。
| 週所定労働時間 | カウントの考え方 |
|---|---|
| 30時間以上 | 1人 |
| 20時間以上30時間未満 | 原則0.5人 |
| 10時間以上20時間未満 | 障がい区分により扱いが異なる |
| 10時間未満 | カウント対象外 |
※基準となるのは契約上の所定労働時間であり、残業・臨時勤務は含みません。
たとえば、短時間勤務をするアルバイトやパートの場合、週30時間以上勤務をしていなければ1名と数えられません。30時間以上かそれ未満かでカウントが変化すると理解しておきましょう。
20時間未満でもカウントされる条件(身体・知的・精神の早見表)
週の所定労働時間が20時間未満でも、障がい区分によってカウントが変化します。
| 障がい区分 | 30時間以上 | 20〜30時間 | 10〜20時間 |
|---|---|---|---|
| 身体障がい者 | 1人 | 0.5人 | 対象外 |
| 重度身体障がい者 | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 知的障がい者 | 1人 | 0.5人 | 対象外 |
| 重度知的障がい者 | 2人 | 1人 | 0.5人 |
| 精神障がい者 | 1人 | 1人(特例) | 0.5人 |
※精神障がい者については、当分の間の措置として20〜30時間でも「1人」とみなされます(雇入れ時期に関係なし)。
障害者区分でカウントが細かく分けられているのは、障がいの特性により長時間就労が難しいケースでも、雇用の機会を確保するためです。20時間未満雇用は一律NGではなく、「重度区分」や「精神障がいの特例」を正しく理解しましょう。
カウントで重度障がいと判定される条件とは?
カウント上の「重度」は、医師の診断書ではなく、障害者手帳の重度表記で行います。
週30時間以上勤務の場合は1人=2人分、20〜30時間未満では1人分として換算され、労働時間の条件が適用可否を左右します。
(参考:厚生労働省「障害者手帳について」)
【ケース別】障がい者雇用カウント計算シミュレーション
障がい者雇用の「不足・充足」を正確に判断するためには、
- 必要人数(法定雇用率×常用労働者数)
- 実カウント人数(0.5/1/2などの換算後)
を並べて比較するのがおすすめです。ここでは、2026年7月以降の民間企業(法定雇用率2.7%)を前提に、よくある会社規模における計算の流れをシミュレーションします。
従業員100人の会社
従業員100人規模では、法定雇用率2.7%だと必要人数は「2人(小数点切り下げ)」が目安になり、あとは「実カウント」が2.0以上かどうかで達成可否が決まります。本シミュレーションでの条件は以下の通りです。
- 企業区分:民間企業
- 適用時期:2026年7月以降
- 法定雇用率:2.7%
- 常用労働者数:100人(※ここは会社の集計結果をそのまま使う想定)
- 障がい者の雇用状況(例)
(1)Aさん:身体(週30h以上)→ 1人
(2)Bさん:知的(週20〜30h)→ 0.5人
※障がい者区分におけるカウントは「20時間未満でもカウントされる条件(身体・知的・精神の早見表)」を参照(クリックで画面スライド)
STEP1:必要人数を計算する
- 100人 × 2.7% = 2.7人
- 小数点処理:原則「切り下げ」 → 2人必要
STEP2:実カウントを換算する
- Aさん:1.0
- Bさん:0.5 → 合計:1.5人
STEP3:差分をチェックする
- 必要:2.0人
- 実カウント:1.5人 → 差分:0.5人不足
STEP4:次のアクション
不足が0.5人の場合、実務での選択肢は複数あります。
- 週20〜30hで雇用できる人材を1名採用する(0.5を積み上げ)
- 既存の短時間雇用の労働時間を見直し、換算が上がる設計にする
- 重度区分・精神の特例など、区分確認の見落としがないか再点検する
100人規模の企業では「あと0.5不足」のように僅差になりやすく、カウント設計ミスが致命傷になります。まずは「必要2人」「実カウント1.5」のように、数字で見える化してから採用計画に落とし込みましょう。
従業員500人の会社
従業員500人規模では、法定雇用率2.7%だと必要人数は「13人(小数点切り下げ)」が目安になります。人数が増えるほど、0.5換算の積み上げや重度の換算が達成可否を左右します。
- 企業区分:民間企業
- 適用時期:2026年7月以降
- 法定雇用率:2.7%
- 常用労働者数:500人(※ここは会社の集計結果をそのまま使う想定)
- 障がい者の雇用状況(例)
(1)身体(週30h以上)×5名 → 5 ×1.0=5.0
(2)知的(週20〜30h)×4名 → 4 ×0.5=2.0
(3)精神(週20〜30h)×3名 → 3 ×1.0(特例)=3.0
(4)重度知的(週30h以上)×1名 → 1 ×2.0=2.0 → 合計:12.0人
※障がい者区分におけるカウントは「20時間未満でもカウントされる条件(身体・知的・精神の早見表)」を参照(クリックで画面スライド)
法定雇用人数と実雇用人数の比較
- 必要人数: 500人 × 2.7% = 13.5人
(切り下げで13人) - 実カウント:12.0人 → 1.0人不足
次のアクション
500人規模では「雇用人数は多いのに、換算で足りない」ケースが頻発します。不足1.0人を埋める現実的な選択肢は次の通りです。
- 週30時間以上の雇用を1名追加する(+1.0)
- 週20〜30時間の雇用を2名追加する(0.5×2=+1.0)
- 既存社員の労働時間を見直し、20時間未満→20時間以上へ引き上げる
- 重度区分・精神特例の確認漏れを再点検し、換算の取りこぼしを防ぐ
まずは「必要13.0人/実12.0人/不足1.0人」という形で数値を明確にし、不足分を「採用・勤務設計・配置変更」のどこで補うかを決めることが重要です。
シミュレーションからわかる通り、障がい者雇用は「人数はいるのに換算で足りない」ケースが非常に多くあります。
障がい者雇用サービスの「グリーンリンクラボ」では、既存社員の労働時間・区分の再整理のほか、重度区分・精神特例を活かした雇用設計、新規採用が必要かどうかの判断まで含めて、現実的な達成ルートを一緒に考えます。自社で判断ができないとお悩みなら、無料相談をご利用ください。
また、より詳しいシミュレーションについては、以下の資料からご確認ください。
障がい者雇用で注意したい「ダブルカウント」とは?
ダブルカウントとは、特定の障がい者を「1人=2人分」として数える制度上の特例です。正しく使えば雇用率達成に大きく寄与しますが、誤解したまま運用すると不正確な実雇用率につながります。
なお、この基準は厚生労働省が定めており、誰でも・どんな条件でも2人分になるわけではありません。ダブルカウントが適用されるかどうかは、以下の組み合わせで判断されます。
- 障がいの区分(重度かどうか)
- 労働時間(30時間以上/20〜30時間)
まずは誰が対象になるのかを正確に押さえていましょう。
ダブルカウントされるのは誰?
ダブルカウントの対象になるのは、一定の等級に該当する重度障がい者のうち、週30時間以上勤務している人です。
ダブルカウントの対象になる
- 重度身体障がい者(週30時間以上)→ 2人
※身体障害者手帳 1級または2級 - 重度知的障がい者(週30時間以上)→ 2人
※療育手帳 A判定、B判定で重度判定を受けている方
ダブルカウントにならない
- 身体障がい者・知的障がい者(非重度)
- 精神障がい者(※重度区分の設定なし)
- 重度でも週20〜30時間未満の場合(→1人換算)
雇用している障がい者の方がもつ手帳の等級(区分)と契約時間を一度整理し、ダブルカウントの取りこぼしや誤認がないかをチェックしてみてください。
なぜ2人分として扱われるのか?
ダブルカウントが採用されているのは、重度障がい者の雇用機会を確保するためです。決して「企業に有利な特例」というわけではありません。
たとえば、重度障がい者の雇用には、
- 業務切り出し
- 設備・環境配慮
- 支援者との連携
など、追加的なコスト・工数が発生することが多く、一般雇用と同じ評価では雇用が進みにくい背景があります。そのため制度上、「1人雇う=2人分の雇用努力として評価する」という考え方が採用されています。
ダブルカウントを前提に雇用計画を立てれば、「重度区分の人材をフルタイムで安定雇用する」「短時間雇用を積み上げるより、質の高い雇用を確保する」「配属・業務設計にリソースを集中させる」といった設計をしやすいのがメリットです。新たな人材を雇用する際には、ダブルカウントでの設計も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
障がい者雇用でカウントされない人やよくある勘違い
障がい者雇用のカウントでは、「雇っているつもり」「一緒に働いている」という理由だけでは対象にならないケースが多くあります。ここでは、特に誤解されやすいポイントを一覧で整理します。
| よくある誤解 | 実際の扱い | 補足・注意点 |
|---|---|---|
| 障害者手帳がない人もカウントされる | ❌ カウント不可 | 原則、障害者手帳の所持が必須。取得後から対象 |
| 休職中の障がい者はカウントされない | ❌ カウント可 | 雇用契約が維持されていれば、カウントされる |
| 派遣社員も社内の実雇用率に含めてよい | ❌ 含まれない | 派遣元企業でカウントされる |
| 副業・業務委託でもカウントできる | ❌ 不可 | 雇用契約でない限り対象外 |
参考:厚生労働省「平成17年障害者雇用促進法改正関係 Q&A」
これらを誤認したまま計算すると、「雇っているのに未達成」になるリスクがあります。不安な場合は、現在の雇用形態・在籍状況を一度整理することが重要です。
なお、障がい者雇用納付金や罰金、罰則について詳しく知りたい方は、以下の記事がおすすめです。
▶ 障がい者雇用に罰則と罰金はある?企業名公表までの全ルールを完全解説
まとめ|障がい者雇用のカウントの不安を相談しよう
障がい者雇用のカウントは、「人数」ではなく制度にもとづく換算ルールで判断しなければなりません。
もし労働時間、障がい種別、重度区分、特例措置の理解が不十分なまま進めると、雇っているのに未達成という事態が起こります。2026年7月から法定雇用率が2.7%に引き上げられるため、本記事の情報を参考に、自社の実雇用率が法定雇用率を満たしているか確認してみてください。
グリーンリンクラボは、障がい福祉のプロが、障がい者雇用において判断が難しい以下のポイントを一体で支援する障がい者雇用サービスです。
- 障がい者雇用のカウント整理・制度対応
- 採用後の定着支援・能力開発
- 受け入れ業務の切り出し・設計
- 森林保全・地方創生と連動したSDGs推進
「雇用率を満たすため」だけではなく、企業価値につながる障がい者雇用を実現したい企業様は、まずは課題整理からご相談ください。
監修
鈴木 勇(スズキ イサム)
株式会社ミチルワグループ Green Link Lab.富山 チーフマネージャー
1990年東北福祉大学卒業後、障害者職業カウンセラーとして、約20年にわたり全国各地の地域障害者職業センターに勤務。障がい者雇用対策の拡充とともに各地に導入されていく「職業準備支援」「ジョブコーチ支援」「リワーク支援」などの新規事業に携わってきました。2014年からは富山県の発達障害者支援センターで成人期の就労支援を担当。2023年からは社会福祉法人の相談支援専門員として勤務しています。2025年4月から現職。

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